弾発股(だんぱつこ)は、股関節を動かす際に「ポキポキ」「ゴリッ」といった音が鳴る状態を指します。この症状は、股関節周辺の筋肉や腱が骨に引っかかることで発生し、「ばね股」や「クリック股」とも呼ばれます。症状が進行することで、足を動かす際に股関節が外れるような感覚がしたり、お尻や股関節、足の付け根あたりが痛む人もいます。
股関節は、どの部分が引っかかるかで外側型・内側型・関節内型の3種類に分けられます。
【外側型】
外側型の弾発股は、外側から『ボコッ』と音が鳴りますが、これは腸脛靭帯が大腿骨の大転子を乗り越える時に引っかかることで起こるものです。主に股関節周辺の筋肉や腱が硬くなっていることが原因となって発症します。特に股関節、内転・内旋位で弾発が著明となり、逆に股関節外転・外旋では、腸脛靭帯の緊張が減少するため、弾発は軽減、もしくは消失する傾向があります。スポーツ選手や、車の乗り降りなど仕事で股関節をよく曲げる人になりやすいです。
【内側型】
内側型の弾発股は、足の付け根あたりから『ポキポキ』と音が鳴るのが特徴です。平泳ぎの時の「カエル足」の動きをした時に、音が鳴る人が多いようです。内側型の弾発股は、股関節の付け根あたりにある腸腰筋腱が大腿骨頭や骨盤前面の腸恥隆起に引っかかることで弾発現象を生じます。股関節を屈曲・外転・外旋位から、伸展・内転・内旋位にすると腸腰筋による弾発現象が発生します。主に鼠蹊部に好発します。
【関節内型】
外側型・内側型ともに痛みを伴わないケースもありますが、関節内型は痛みを伴います。関節唇の損傷、滑膜性骨軟骨腫症、関節内遊離体などが原因で起こります。関節内型では手術が必要な場合があるので、画像検査を行うことが推奨されます。
弾発股は、初期の段階ではポキポキと音がするだけで痛みを伴わない場合がほとんどです。ただし、そのまま放置し続けると繰り返し骨と腱が引っかかることで、炎症を生じて痛みを伴うようになります。痛みを放置すると、股関節が変形するリスクもあるので、違和感や痛みを感じたら早めの受診をお勧めします。