股関節インピンジメント症候群は、股関節で骨と骨の衝突や挟み込みが起きることで機能障害を引き起こす状態のことをいいます。股関節は大腿骨頭と臼蓋からなる関節で、比較的自由に動きます。その関節の安定性を保っているのは股関節周囲にある筋肉や靭帯ですが、臼蓋の周囲にある関節唇も安定性を保つ上で重要な働きをしています。過度に股関節の屈曲を繰り返すと大腿骨頸部と臼蓋が衝突(インピンジメント)し、関節唇が損傷したり、骨や軟骨にも変化が及んでしまいます。
大腿骨寛骨臼インピンジメントは股関節動作時に繰り返しインピンジメントを生じて関節唇断裂や寛骨臼の軟骨損傷を引き起こす病態で「FAI」と称されます。FAIは股関節の形態と引き起こす病態より、下記の3つのタイプに分類されます。
出典:股関節理学療法マネジメント
FAIの分類
●cam type
大腿骨側に原因があり、インピンジメントを生じるタイプ。
多くは20〜30代の男性にみられます。
●pincer type
寛骨臼側に原因があり、インピンジメントを生じるタイプ。
多くは30〜40代の女性にみられます。
●combined(mixed) type
cam typeとpincer typeの合併