手首にある2本の骨のうち、太い方を「橈骨(とうこつ)」といいます。コーレス骨折は手首の橈骨側の遠位端に発生し、手首の骨折で最も多いです。特に手をついて転倒した際に起こることが多いと言われており、高齢の方の場合、骨が弱くなってしまっているため、単純な折れ方ではなく、複雑な折れ方をする場合があるため注意してみることが重要です。
コーレス骨折は手をついたときの衝撃により、手首にある積み木のような骨の突き上げを通じて、橈骨を粉砕します。さらに、自分の体重が手首にかかることで橈骨に骨折が生じてしまいます。多くの場合、手のひらが凹んだような状態になり、骨が上に向いてずれるような変形を起こします。
診断はX線検査で行われ、骨折のずれ具合によって治療法が決定されますが、ほとんどの場合ギプスによる固定療法を選択します。ただし、高齢者の場合には、骨粗鬆症による骨の弱さがもともとあるため、一つだけの骨片ではなく、いくつかの骨片ができるような粉砕型の骨折形態になる場合が多いです。特に関節内での骨折は粉砕骨折になっている場合が多く、手術を選択するケースが見られます。他にも、段差があまりにも著しい場合や、仕事やスポーツなどで手首の障害を避けたい場合は、手術療法が選択される場合もあります。
ギプス固定を行い、できるだけもとの形に戻そうと修復を試みても、細かい骨片や骨粗鬆症によって骨の強度が弱いので、骨折部分に隙間が生じ、結果的に段差ができてしまいます。そのため、できるだけもとの形に戻して、ギプス固定をすることが第一の選択肢です。当院では、このような傷病に対して痛みをとるだけではなく、固定期間に脆弱化した筋機能を改善するためのトレーニングも並行して行い、二次障害の予防を図っていきます。