転倒して手をついた際などに、肘を伸ばした状態で発生することが多い外傷です。この時、上腕骨から橈骨と尺骨が後方(背中側)に外れてしまいます。肘には激しい疼痛、腫れ、可動域制限が生じ、肘を動かせなくなります。肘関節脱臼の診断には、レントゲンが用いられます。特に側面像が重要で、正面像では脱臼の状態が分かりにくいことも多いです。また、尺骨鉤状突起の裂離骨折が疑われる場合には、CT検査を行い、詳細な評価が必要となります。
稀ですが、脱臼時や整復時の牽引の際に、上腕動脈の損傷や、正中神経や尺骨神経の損傷が発生する可能性があります。神経や血管の損傷があると後遺症が残るリスクもあるため、早期発見と治療が重要です。徒手整復が多くのケースで効果的ですが、合併症の可能性や長期的な機能回復を見据えた管理が求められるため、症状が当てはまる方は早めの受診をお勧めします。