Bankart lesionとも呼ばれ、肩関節の脱臼に関連して起こる肩の損傷です。肩には、肩甲骨の関節窩(肩関節の受け皿部分)を取り囲む軟骨組織で、上腕骨頭を安定させている肩関節唇と呼ばれる関節があります。この関節唇の一部が、肩の前方脱臼によって損傷を受けた状態のことを指します。具体的には、関節唇‐前下関節上腕靭帯(AIGHL)複合体が関節窩から剝離し内下方に変位した状態のことを指しており、AIGHLの緊張低下がみられます。発生頻度は80~100%と非常に高く、前下方関節唇剥離に関節窩の骨折を伴うことがあります。
肩関節は人体において最も可動範囲の大きく、最も脱臼しやすい関節です。アスリートなど活動性の高い若年者に生じやすく、何度も脱臼を繰り返すことで反復性脱臼に移行してします。
正確な損傷部位はMRIやCTなどの画像検査や徒手検査の結果に基づいて判断していく必要があるため、症状に覚えがある人は早めの受診をお勧めします。