足の第1趾には内側種子骨と外側種子骨の二つがあり、短母趾屈筋をはじめとする数々の筋肉・靭帯が付着しています。ランニングやジャンプ動作などを繰り返すことで同じ箇所に過度なストレスがかかり、種子骨が存在する第1趾MP関節近位部に圧痛・荷重痛・運動時痛を認めるものを総称して《種子骨障害》といいます。
主にランナーなどのよく走るスポーツでみられることが多い障害ですが、空手や剣道といった素足の状態で踏み込み動作の多いスポーツなどでも種子骨に強い外力や繰り返されるストレスがかかってしまうため、症状が発生します。
スポーツ選手にみられる母趾種子骨障害としては他にも、分裂種子骨,疲労骨折,無腐性骨壊死などが知られており、それらの多くはX線による診断が可能です。しかし、中にははっきりとした鑑別が難しい症例もみられています。なかでも分裂種子骨と疲労骨折はX線上,分離面の性状,皮質の連続性などにより鑑別が可能とされていますが、種子骨自体が小さいことや、分裂種子骨の一部は疲労骨折の結果であるという可能性が示唆されていることもあり、初診時のX線では明確に判断する事が容易ではありません。少しでも思い当たる部分がございましたら、是非一度ご相談ください。