膝関節内には胎生期に膝関節腔を分割していた隔壁の遺残と考えられるものがあり、それが滑膜ヒダ(タナ)と呼ばれています。滑膜ヒダは膝蓋上滑膜ヒダ、膝蓋内側滑膜ヒダ、膝蓋外側滑膜ヒダ、膝蓋下滑膜ヒダの4つが存在しています。
このなかで主に臨床的に問題となるのは膝蓋内側滑膜ヒダで、膝の屈伸に際して内側膝蓋大腿関節内に挟まれ、疼痛を主とする症状を呈します。
好発年齢は10歳代から20歳代前半に多く、自覚症状については膝蓋傍内側部に痛みを生じますが、膝を軽く何度か屈伸すると疼痛が寛解する傾向があり、このような症状はほかの膝疾患にはあまり見られない本症に比較的特徴的なものと思われます。
タナ障害の診断は、自覚症状,他覚的所見,関節鏡検査等を通して、総合的判断が必要になります。タナの大きさ,緊張が適確に判断されないと瘢痕収縮が原因で再発してしまう恐れがありますので、痛みの覚えがある人は早めの受診をお勧めします。