発育期の若者に見られる膝の骨軟骨障害の一つです。この状態は、通常一つである膝蓋骨(お皿の骨)が複数の骨片に分かれ、その分裂部分に痛みが生じます。特にスポーツ活動が盛んな時期の子どもや若者に発生しやすい疾患です。
分割膝蓋骨は、Saupe 分類といわれる分類に基づき、分割骨片の位置によって分類されます。
・I型(下外側型): 膝蓋骨下極に分裂骨片が存在
・II型(中央型): 膝蓋骨外側縁に分裂骨片が存在
・III型(上外側型): 膝蓋骨上外側に分裂骨片が存在
図 Saupe 分類(愛知県理学療法学会誌より引用)
Saupe分類は、有痛性分裂膝蓋骨の診断や治療方針の決定に重要な役割を果たします。分裂骨片の位置によって、適切な治療法が異なるため、正確な分類が求められます。例えば、上外側に分裂するIII型が最も一般的で、全体の約75%を占めるとされています。III型は保存療法が有効なケースが多いのに対し、II型は観血的治療(手術)が必要になることが多いとされています。
II型に対しては主に観血的治療が行われることが多いですが、分裂骨片への影響を考慮した膝蓋骨外側端部への牽引ストレスの軽減を目的とした理学療法が有効である可能性も示唆されています。このように、Saupe分類は有痛性分裂膝蓋骨の評価と治療計画の立案において、重要な指標となっています。
分裂膝蓋骨は特に、走る・跳ぶなどの動作を頻繁に行う、発育期のスポーツ選手に多いと言われています。通常、分裂膝蓋骨自体は無症状のことが多いです。痛みが起こる主な原因は、大腿四頭筋の強い収縮に伴う引き寄せられるようなストレスが何度も繰り返されることです。症状が出るのは、特に運動時や運動後に痛みが出るケースが一般的です。
分裂膝蓋骨は、適切な治療を受けることで多くの場合症状の改善が期待できます。 特に成長期の若者を大切にし、スポーツ活動と膝の健康を両立するためには早期の診断と治療がスポーツ選手やその保護者、指導者は、膝の痛みを軽視せず、早めの受診を受けることを心がけましょう。