肩から腕にかけて走行している《腕神経叢》とよばれる神経や血管が、胸郭出口と呼ばれる部分で圧迫されることによって引き起こされる一連の症状を指します。発症年齢は若年者に多く、女性の発症率が特に多いです。胸郭出口は首の下から脇にかけての領域で、鎖骨、肋骨、胸椎などの骨構造と周囲の筋肉や靭帯が形成している空間です。神経・血管が圧迫されることによって頸部や肩の凝り感、次いで上肢の倦怠感とシビレが多発し、疼痛もかなりの頻度で出現します。
腕神経叢とは
C5~Th1までの神経根が椎間孔を出た後、分岐と吻合を繰り返して形成される神経の束を腕神経叢と呼びます。腕神経叢は上肢の運動と知覚を支配するために手部へと向かい、そこから枝分かれした末梢神経が絞扼部位と呼ばれる『3つトンネル』を通過していきます。ここでは、絞扼部位となる3つのトンネルをそれぞれ紹介していきます。