大腿骨疲労骨折(Femoral stress fracture)とは、スポーツや日常生活での反復的な負荷によって大腿骨がダメージを受け、亀裂のような小さな骨折が起こった状態を指します。初期には小さな痛みとして現れることが多く、単なる筋肉痛と見分けがつきにくい場合があります。しかし、適切な処置を怠ると症状が進行し、骨折ラインが大きく広がってしまうケースもあるため注意が必要です。
大腿骨疲労骨折は、「頚部疲労骨折」と「骨幹部疲労骨折」の2つが多く、骨が継続的に受ける負荷の程度や発生場所などによって分かれています。
大腿骨頚部疲労骨折は、大腿骨頚部に繰り返し下方に押し下げる圧力と、頚部を引き裂くような牽引力がかかることで骨折をきたす疾患です。大腿骨頸部の幅が半分未満の圧迫骨折には保存治療が適応となりますが、半分以上の骨折に対してはスクリュー固定などの手術療法が適応となります。喫煙者や高い運動負荷、女性、高齢者などに多く発生するのが特徴です。
大腿骨骨幹部疲労骨折は、大腿骨幹部の海綿骨に異常なストレスがかかり微小骨折が生じる、いわゆる使い過ぎにより骨折をきたす疾患です。骨質が良好な若年層には、体重負荷を制限するなど保存治療を行います。60歳以上の方、または骨減少症のある方には、予防的髄内釘手術が推奨されます。
大腿骨疲労骨折は深刻な状態であり、適切な診断と治療が必要です。スポーツ選手や活動的な習慣のある方は、この状態に注意を払い、予防策を講じることがとても重要です。