指の屈筋腱と靱帯性腱鞘の間で腱鞘炎が起こり、通過障害が生じる症状です。 屈筋腱の腱鞘炎は、MP(中手指節)関節の掌側にある靱帯性腱鞘で発生する腱鞘炎で、腱鞘の肥厚と靱帯性腱鞘内部の狭小化、腱自体の浮腫性腫大などによって腱の通過障害を生じ、弾発現象が起こります。指の曲げ伸ばしの際に腱が腱鞘に一時的に引っかかった後、“ばね”のように弾発するため、“ばね指”と呼ばれています。
ばね指は、中高年や妊娠出産期の女性に多い傾向があり、更年期や女性ホルモンなどの影響ともいわれています。母指・中指に多くみられます。
※腱の周りには腱鞘があります。硬い靭帯性腱鞘のある部分は滑膜性腱鞘で裏打ちされていて、腱と靭帯性腱鞘が擦れて摩擦が生じにくいようになっています。そのほかの腱の周囲はパラテノンという柔らかい軟部組織が覆う構造になっています。

小児のばね指
多くが1〜2歳までに発症します。原因は先天性の腱鞘の狭窄あるいは腱の肥厚であるという説がありますが、明らかではありません。母指に多く、IP(指節間)関節の伸展制限か弾発現象を訴えます。半数以上が自然治癒し、6〜7歳までは改善が期待できます。
握り母指症では、MP (中手指節)関節が屈曲位をとり、他動的に容易に伸展できることがばね指とは異なります。また、腱の滑動性が強く制限された場合、「強剛母指」といいます。