キーンベック病は手関節背側の動作時痛が特徴と言われています。特に手をよく使う方で、思い当たる外傷もなく、手関節が腫れるという事があった場合には早めの受診をお勧めいたします。
手首の関節の中心に位置する「月状骨」が血行不良により壊死し、つぶれていく進行性の疾患です。手を酷使する肉体労働者やスポーツ選手などに見られることが多いです。男性で発症率が高く、好発年齢は10~50歳で、20代に最も多くみられます。
日本整形外科学会より引用
利き手に最も多く見られることから、月状骨に負荷がかかりやすい関節の形の人や、手首に衝撃負荷がかかる職種・スポーツ選手に起こりやすいと考えられます。
また、明らかな外傷や職歴のない女性や高齢者にも発症することがあります。一説には月状骨の小さな不顕性骨折が原因とも考えられていますが、詳しい原因は不明とされています。
本症状はレントゲンでは骨性変化がわからないことも多く、MRI検査で明確な診断が可能となります。進行例ではレントゲンでも骨硬化像や関節症性変化が出現することもあります。また、手根管症候群や腱断裂を合併することもあります。病気分類にはLichtman分類を用います。
Lichtman分類
ステージ1:構造や骨密度ともに正常であるが、ときに線状骨折を認めます。
ステージ2:骨硬化像を認めるが、形状には変化を認めません。
ステージ3:文節状変化、圧壊を伴います。
ステージ4:文節状の変化や圧壊の進行により、舟状骨掌屈回転などの明らかな手根骨配列異常を伴います。