足根洞とは、足関節外果前下方の骨性陥凹に位置しており、伸筋支帯の踵骨付着部などの繊維束が複雑に走行しています。本症状は、重症内反ねんざを受傷した際に足根洞深部を走行する骨間距踵靭帯を損傷して、足根洞内で瘢痕拘縮が生じることにより、炎症や滑膜組織の増殖が引き起こされて発症すると考えられています。具体的には、距舟間癒合症(二分靭帯部の先天性異常骨化)や距踵間前外側インピンジメント症もその範疇に含まれると考えられ、臨床上の取り扱いには注意を要します。
骨間距踵靭帯を損傷する具体的なメカニズムは、まず、足関節の外側靭帯が損傷されて内反亜脱臼状態になり、この状態で後足部にさらなる軸圧が加わると距骨下関節にも内側方向の剪断ストレスが発生すると推測されます。この外力が強大で骨間距踵靭帯が完全断裂をきたすことにより、距骨下関節が完全脱臼すると思われますが、この靭帯は内外側方向の幅が広い膜状構造物であるため、多くの場合には部分損傷に留まると考えられています。
その後に足根洞症候群に至る過程は詳しく判明しておりませんが、距骨下関節は後足部肢位が中間位での荷重でも運動が生じるため、荷重時痛が強いにも関わらず無理な早期荷重が行われると、炎症が遷延化して発症することが考えられます。
本症状は適切な処置と治療によって疼痛や可動域制限に改善が得られます。捻挫をして以降、外くるぶし周辺の痛みや荷重時の不安定感が残る方は早めの受診をお勧めします。