ハンター管症候群は、太ももの内側にある「ハンター管: Hunter管」(内転筋管とも呼ばれる)での伏在神経の圧迫によって引き起こされる神経障害です。ハンター管は以下の筋肉に囲まれた筋膜性のトンネルです。
- 長内転筋
- 大内転筋
- 内側広筋
- 縫工筋
この管内には大腿動脈、大腿静脈、そして伏在神経が通っています。スポーツなどによる筋肉の過剰な緊張や、サポーター・テーピング・防具などによる締め付け、下肢のアライメント問題(股関節や足関節の問題、膝下の捻じれなど)によって膝上の内側あたりで圧迫されることで、膝関節内側から下腿内側にかけての痛みやしびれを発生させます。
ハンター管症候群の特徴として、膝を動かしても痛みは変動しないことが挙げられます。また、伏在神経は感覚神経であるため、筋力低下は起こりません。注意すべき点として、この症状はシンスプリントや疲労性脛骨膜炎、変形性膝関節症などと誤診されることがあります。本疾患の場合はハンター管の直上に強い圧痛を認めることが多いとされますので、他の疾患との正確な診断と適切な治療が重要です。症状に心当たりがある方は早めにご相談ください。