膝のスポーツ外傷の中でも最も高頻度に発生するもののひとつであり、さらに手術に至る頻度が高い外傷といわれています。半月板はかつて、損傷に対して切除が一般的でしたが、現代では荷重分散機能、膝関節のsecondary stabilizerとしての機能が明らかにされつつあり、できるだけ温存を図ることが多くなってきております。
半月板損傷の形態は、主に縦断裂、横断裂(放射状断裂)、水平断裂、フラップ状断裂にわけられます。受傷原因としては、膝関節に屈曲と回旋の運動が加わって生じるとされており、スポーツ活動によって多く発生します。
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正しい保存療法を行うためには、正しく病態を把握する必要があります。主な症状が痛みのみである場合、画像検査で半月板損傷が認められるとしても、その痛みが半月板由来のものかを確実に判断するのは難しいので、手術が第一選択とはならない場合が多いです。特に半月板外周1/3は血行に富んでおり、修復機能が高いと考えられています。
一方で、放置することにより救える半月板を救えなくなる場合もあります。受傷機転がはっきりしており、変性が軽度で修復が可能であること。あるいは、半月板の機能低下を最小限にして治療できる例では手術を遅らせることは望ましくありません。スポーツ選手の場合、症状が悪化しなければ保存療法を望まれることも多いですが、将来を考え半月板組織を温存するためには、早期の修復が望ましいと考えられています。