手首には、三角繊維軟骨,尺側側副靭帯,掌背側の遠位橈尺関節靭帯,関節円盤類似体,尺骨手根伸筋腱の腱鞘により構成されている『TFCC』が存在します。TFCCの機能は主に以下の3つが考えられます。
遠位橈尺関節の安定性の維持
遠位橈尺関節の運動は単純な回旋運動だけでなく掌背側あるいは、軸方向への並進運動成分も含んでおり、この関節の安定性はおもにTFCC,骨間膜,方形回内筋で維持されています。
橈骨手根関節の尺側支持機構
TFCCのなかでも尺骨手根伸筋腱の腱鞘は、手根骨と尺骨を結ぶ強靭な繊維で、橈側の橈骨手根間靭帯に相当し、手関節の安定性に関与しています。
手関節における力の伝達
関節軟骨と剛性の異なるTFCCが手根骨尺骨間に存在することは、手関節における力の伝達に歪みを生じさせます。正常手関節においては80~85%の荷重が橈骨を通じて伝達されますが、これはTFCCを切除した場合や、尺骨の延長や短縮術によりTFCCの緊張を変えることによって手関節における力の伝達に影響を与えてしまいます。
本症状は外傷や変性(繰り返し外力)により損傷され、続発する関節不安定性やインピンジメントが生じることで症状が発生します。TFCC損傷の診断は、X線,CT,MRIによる画像検査や,関節鏡検査によって確定させることができますが、徒手検査による重要性も非常に高いので、症状に覚えがある人は早めの受診をお勧めします。